日本戦略研究フォーラムは、これまで「台湾海峡危機政策シミュレーション」と題する政策シミュレーションを継続して実施してきた。2023年の第3回からは台湾側の代表者も参加し、2024年には福和会が共催団体として加わり、規模を拡大して開催された。福和会が代表団を率いて参加したほか、立法委員の陳冠廷氏、郭國文氏もオブザーバーとして招かれた。
2026年、福和会は共同主催団体となり、日本戦略研究フォーラムとともに、台湾で初めてとなる「『民主の盾』日台米三者協力メカニズム構想・第1回政経シミュレーション」を企画・開催した。
第一列島線が世界的な戦略上の要衝となり、台湾と米国、日本との戦略的協力がますます緊密化していることに加え、頼清徳総統が「全社会防衛強靱性」の強化を積極的に推進している中、今回の政経シミュレーションは民間主催ではあるものの、極めて大きな意義を有するものとなった。
シミュレーション前日の8月7日、福和会、日本戦略研究フォーラムおよび日本の国会議員訪問団は、まず頼清徳総統を表敬訪問した。
訪問団には、有村治子参議院議員、小野寺五典衆議院議員、山下貴司衆議院議員、大塚拓衆議院議員、鹿嶋祐介衆議院議員のほか、日本戦略研究フォーラム副会長の島田和久氏、同フォーラム事務局長の長野禮子氏、さらに複数の自衛隊元高級幹部が参加した。
福和会からは、名誉理事長で総統府国策顧問を務める林逸民氏が一行を率い、林佳龍外交部長および「台湾日本関係協会」の洪英傑秘書長が同行して総統府を訪問した。会談には潘孟安総統府秘書長、呉釗燮国家安全会議秘書長も同席した。
小野寺五典議員は、東アジア地域の平和を確保するためには、日本、台湾、米国が緊密に協力し、起こり得る不測の事態に常に万全の備えをしておく必要があると指摘した。
また、日本戦略研究フォーラムはこれまでさまざまなシミュレーションを実施してきたが、今回、福和会との共同主催により、初めて台湾でシミュレーションを実施することになったと説明した。そのうえで、こうした訓練と準備を積み重ねることが、地域の平和を維持するための重要な抑止力になるとの認識を示した。
訪問団はその後、外交部を訪問し、林佳龍外交部長と面会した。
林部長は、熊本地震の発生後、外交部が直ちに義援金専用口座を開設し、これまでに1万5,000件を超える寄付が寄せられ、TSMCなど企業からの寄付を除いても、義援金はすでに2億台湾元を超えていると説明した。これは台湾の日本に対する深い友情を十分に示すものであると述べた。
小野寺五典議員は、熊本地震に際して台湾から寄せられた支援と配慮に感謝を示すとともに、日本戦略研究フォーラムが長年にわたり政策シミュレーションを実施してきたことを改めて説明した。
また、今回は初めて台湾において「福和会」と共同で、日台米の関係者を招き、緊急事態への対応方法について検討・分析し、相互の経験交流を深めることが目的であると述べた。
8月8日 政経シミュレーション
8月8日、「『民主の盾』日台米三者協力メカニズム構想・第1回政経シミュレーション」が実施された。
日本側からは、以下の国会議員8名が参加した。
• 衆議院議員 小野寺五典
• 参議院議員 有村治子
• 衆議院議員 長島昭久
• 衆議院議員 鈴木馨祐
• 衆議院議員 山下貴司
• 衆議院議員 大塚拓
• 衆議院議員 神田潤一
• 衆議院議員 鹿嶋祐介
また、自衛隊の元高級幹部3名が参加した。
• 第34代陸上幕僚長 岩田清文
• 第32代海上幕僚長 武居智久
• 第35代陸上幕僚長 岡部俊哉
このほか、日本戦略研究フォーラム副会長の島田和久氏、事務局長の長野禮子氏、産経新聞編集委員の田北真樹子氏らを含め、日本側から計19名が参加した。
台湾側からは、鍾佳濱、郭國文、李坤城、陳培瑜の各立法委員、総統府「全社会防衛強靱性委員会」委員の劉玉皙氏のほか、国家安全会議諮詢委員、元部長・次長、各種戦略物資に関係する国営企業の董事長、研究者、黒熊学院の代表者などが参加した。
さらに、福和会の陳彥升理事長、顧問の余宗基将軍、李明峻教授らを含め、台湾側から計30名がシミュレーションに参加した。このほか、各界から計24名のオブザーバーが参加した。
米国側からは、以下の4名が参加した。
• 日本戦略研究フォーラム顧問 ロバート・D・エルドリッヂ博士(Dr. Robert D. Eldridge)
• 元米海軍第7艦隊司令官 マーク・モンゴメリー提督(Admiral Mark Montgomery)
• 元米国在台協会台北事務所長 ウィリアム・A・スタントン博士(Dr. William Anthony Stanton)
• 米国ユダヤ政策センター上級研究員 ガーマンテス・ライラリ氏(Mr. Guermantes Lailari)
終日にわたって行われた政経シミュレーションでは、活発な議論が交わされ、第一列島線をめぐる各分野での協力について、参加者の間でさまざまな新たな考えが生まれる機会となった。
8月9日 総括報告・記者会見
8月9日は、まずシミュレーションの総括報告が行われ、その後、記者会見が開催された。
会見でモンゴメリー提督は、安全な航行を維持する能力が極めて重要であると強調した。これには商船の誘導や救援活動などが含まれ、各国間の相互運用性について事前に計画しておく必要があると述べた。この点は、シミュレーションにおいても活発に議論されたテーマの一つとなった。
また、モンゴメリー提督は、頼清徳総統およびその行政チームによる社会全体の強靱性構築に向けた取り組みを高く評価した。一方で、台湾の社会的強靱性が直面する課題はすでに国内だけの問題にとどまらず、パートナーである米国や日本と緊密に協力する必要があるとの見解を示した。
長島昭久衆議院議員は、今回の政策シミュレーションについて、台湾と日本の国会議員による政策交流の場としての役割を果たし、日台間に正式な外交関係がないことによる不足を補うものになったと評価した。
また、台湾の社会防衛強靱性に関する取り組みについて、情報戦への対応など、日本が学ぶべき点が多くあると述べた。一方、日本はエネルギー備蓄やサプライチェーンの多元化などの面で進んでいる部分があり、互いの状況を理解し、学び合い、情報を交換することが非常に重要であると指摘した。そのうえで、このような政策シミュレーションを今後も継続して実施する必要があるとの考えを示した。
神田潤一衆議院議員は、今回のシミュレーションを通じて、さまざまな課題が徐々に明らかになったと述べた。また、鹿嶋祐介衆議院議員も、今回のシミュレーションによって、台湾、米国、日本の間における情報共有の重要性が改めて浮き彫りになったと述べた。
陳培瑜立法委員は、台湾が全社会防衛強靱性の強化に向けて積極的に準備を進めていることを国際社会に伝えたいと述べた。
その準備は、各種物資、輸送、医療、認知戦、人道支援など幅広い分野を対象としており、台湾政府としては、台湾の人々が国際社会との意思疎通や交流を維持できるよう導くと同時に、台湾自身の能力を最大限に高めていきたいとの考えを示した。
福和会の陳彥升理事長は、次のように述べた。
「3か国から参加した仲間たちは皆、状況が許す限り、緊密に協力し、互いに支援し、助け合っていく意思を示しました。今後想定されるさまざまな状況においても、私たちが協力することで問題を解決していくことができます。これこそが、今回の最も重要な成果です。」

















































